【読書感想】 モルグ街の殺人・黄金虫 エドガー・アラン・ポー
モルグ街の殺人・黄金虫―ポー短編集〈2〉ミステリ編 (新潮文庫)
- 作者: エドガー・アランポー,Edgar Allan Poe,巽孝之
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/04/25
- メディア: 文庫
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エドガー・アラン・ポーと言えば、ミステリー小説の始祖。
ポーが好きだから、読書の感想をブログに書き込むにあたって一番最初にしたのかというと、そういう訳ではなく、むしろポーを読むのはこれが初めてでした。
ちなみにエドガー・アラン・ポーを訛らせて、ペンネームにした江戸川乱歩は好きな作家の一人です。
今回読んだ本には、
『モルグ街の殺人』 『盗まれた手紙』 『群衆の人』 『おまえが犯人だ』 『ホップフロッグ』 『黄金虫』
の短編6作品で構成されています。
基本的にはネタバレはせずに、各々の作品を簡単に紹介していきたいと思います。
『モルグ街の殺人』
史上初の推理小説。この小説がなければ、名探偵コナンも誕生していなかったと考えると、後世に与えた影響力の強さは計り知れないですね。
天才的な頭脳をもつ変人オーギュスト・デュバンが快刀乱麻の活躍で事件を解決するという、推理小説のテンプレートのような作品ではありますが、凄惨な事件現場や緊張感の描写はやはり見事です。
推理のオチはかなり強引ですが、この強引さが話のインパクトにつながり、人の予測
を裏切る推理小説のひな型になったのかなと思います。
推理小説好きで、読みそびれている人は是非ご一読を。
『盗まれた手紙』
この作品も、「モルグ街の殺人」で登場したデュバンが活躍する推理小説です。
過激な殺人事件が起こるという訳ではなく、ただの窃盗事件を解決していくだけの
内容なのですが、人間心理を織り交ぜた推理が進行していく、こちらの作品の方が
「モルグ街の殺人」よりも個人的には面白かったです。
「モルグ街の殺人」が意外性のある推理小説である一方で、「盗まれた手紙」は皮肉
を交えた寓意的な作品です。
『群衆の人』
前の2作品とは、かなり毛並みの違う小説です。少なくとも推理小説ではないです。
安部公房のような実存主義的な小説を好む人は、琴線に触れる作品かもしれません。
『おまえが犯人だ』
かなりユーモアのある推理小説。こいつが犯人なんだろうなと考えながら、話が進行
していくのですが、犯人が絵に描いたような悪どい奴なので、最後のオチは結構すっきりすると思います。
人は見た目や地位で判断してはいけないという戒めも含まれていると思います。
『ホップフロッグ』
江戸川乱歩の作品に「踊る一寸法師」という作品がありますが、かなり似ている作品です。エドガー・アラン・ポーからペンネームをひねり出している江戸川乱歩が、この作品を元に「踊る一寸法師」を書いているのかなと勝手に推測しています。
「踊る一寸法師」も「ホップフロッグも、障害者が主人公の復讐劇で、どちらの作品
も最大の山場は人前で堂々と復讐を果たすところにあります。
おどろおどろしい作品ではありますが、毎日が鬱屈な感情で、自分って歪んでるなっ
て思う人は、最後すっきりすると思います。まあ、自分のことです…
『黄金虫』
推理小説として、一番楽しめた作品は個人的にはこの作品です。一番ホラー色も強いです。暗号解読小説と本の背表紙に書いてありましたが、まさしく暗号解読の部分が最大の山場です。主人公の奇行の謎が、暗号の解読を進めるうちにどんどん解けていきます。黄金虫と主人公の謎の行動の意味、海賊の財宝といった脈絡のないものを華麗に結びつけた、この小説はまさしくイリュージョンです。
ポーの知名度と表表紙の絵の良さで購入しましたが、買ってよかったと思っています。
ポーはまだ全然読んでいないので、「黒猫」あたりの有名どころも読んでみようか
なと思います。