ワーホリ生活の中で個人的に感じた、ニュージーランドのいいところとよくないところを忌憚なく書いてみよう

 

ニュージーランド滞在歴 1年2ヶ月

また更新が途絶えてしまった。

つくづく思うが、バックパッカーというのはほとんどホームレスのようなものだ。短期間働いたり、あちこち移動して回って、どこの国ともしれない人間と寝床をともにする。そんな生活を一年二ヶ月続けてきた。

大自然の中キャンプをしたり、絶景を楽しんだりするのはいいものだけど、安定しない生活もなかなか疲れてきた。

 

一年以上ニュージーランドにいると、いいところだけでなく嫌なところも見えてくる。

今回はできる限りフラットな視点から個人的に感じたニュージーランドのいいところ、悪いところを真面目なトーンで書いていきたいと思う。

 

この1年2ヶ月をどう生活してきたか

まず自分がどのようにしてニュージーランドで生活してきたのか簡単に紹介してみよう。

 

2019年12月 ニュージーランド ロトルア到着

2020年1月〜2月 ロトルアでブルーベリーピッキング

2020年2月〜3月 オークランド滞在、南島へ一週間短期旅行

2020年3月〜6月 自動車購入

           北島タウランガにてキウイフルーツピックハウスで働く

2020年6月〜8月 北島ノースランド地方、タラナキ地方旅行

2020年8月〜10月 北島オハクニにて、にんじんパックハウスで仕事 

2020年10月〜12月  南島旅行

2020年12月〜1月 南島クロムウェルでチェリーパッキング

2020年1月〜2月 ワイン農園でネット張りの仕事、南島旅行、ムール貝の仕事

 

だいぶ落ち着かない生活をしている。

海外生活と一言で言っても、ぼくはずっと一つのところに定住していたわけではなく、車でニュージーランドを転々と回り、カントリーライフをエンジョイしている。都市部でレストランジョブをしたりホワイトカラーの生活をしているわけではないから、バックパッカー生活から見たニュージーランドという視点でしかないけれど、ニュージーランドがどんな国なのか手触りだけでも知りたい人にしてみれば、ある程度参考にはなるはずだ。

 

ニュージーランドの個人的にいいところ

雄大な自然

ニュージーランドで絶景を見ることのできないところに行くことの方が難しい。

日本も地方に行けば自然豊かだが、ニュージーランドの自然とは規模感が違う。

日本の自然には日本の自然のいいところがあるが、雄大な自然にただただ圧倒される感覚はニュージーランドに来ないと体感できないと思う。

フィヨルドや氷河、原始的な森、エメラルドブルーの海岸線などなど・・・。

 

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ニュージーランドの自然は努力によるものだ。

国としても大々的に保全活動に取り組んでいるし、キウイ(ニュージーランド人のこと)も自然保護の意識が非常に高い。ニュージーランドの国土の三分の一が国立公園である。

ニュージーランドへの入国の時の荷物チェックは本当に厳しい。少しでも他の土地の泥が靴底についていたら持ち込み禁止、食べ物も果物や豚エキスの入っているものは没収される。神経質すぎない?と思うこともあるが、それくらいのことをしてようやく自然を完全な姿で保全することができるということなのだと思う。

確かに、この大自然を体感すれば、リスペクトを当たり前のこととして抱いてしまうのも、うなづける。

 

治安がいい

ニュージーランドはやっぱり、のどかで牧歌的な国だ。

東京で生活していた頃とは時間の流れ方も全く違う。ワークビザの日本人が、ニュージーランドののどかさは沖縄とよく似ていると言っていたけど、なるほどと思った。切羽詰まった感じがまるでない。

ニュージーランドは世界的にもかなり治安がいい。治安の良さを示すGlobal Peace Indexでは、2020年版でも世界第2位。過去10年間、トップ3以内をキープし続けている。ちなみに日本は世界第9位。

日本が地球上で一番治安が良くて海外は治安が悪いというイメージはあると思うが、上には上がいるものである。

 

・・・データの上ではニュージーランドの方が日本より治安はいいと出ているが、一個人の体感ではニュージーランドの治安はどう感じるか。

そのことはニュージーランドの悪いところで述べようと思う。

 

人が親切

ぼくのイメージでは、キウイは親切で気さく、それでいてシャイというイメージがある。困っている人をみればすぐに助けてくれる人が多い。

車が故障して動かなくなったらレッカー車を呼んでくれたり、泥にはまって車が動かなくなった時もなんの躊躇いもなく車を押して助けてくれた。自分はニュージーランドじゃ外国人で英語も満足に話せないので、困った時に助けてくれると、本当にありがたいいと感じる。

キウイは学校を卒業すると数年間海外で生活をする人が多いらしく、その経験があるからなのか困っている人を見ると人種を問わず助けてくれるのかも知れない。体感では、日本に行ったことがニュージーランド人は多いので、話も合うし日本を褒めてくれることも多い。

 

ニュージーランドであからさまな人種差別を受けることも少ない。移民を受け入れないと労働力が足りないという事情もあるのかも知れないけれど、他の民族とも助け合う精神が根付いているのだと思う。

ヨーロッパやアメリカに行くと、どこか戦闘モードで街を歩かなければならないことが多く、緊張で気疲れしてしまうが、ニュージーランドは日本の街を歩くような感覚でマイペースに生活することができる。

 

国の機動力の高さ

新型コロナウイルスのパンデミックへの素早い対応で、特に印象に残ったのだが、ニュージーランドは国としての機動力が本当に高い。

最初にロックダウンが決まった時はあまりに急なことで軽くパニックになるくらい決断が早かったが、今になって考えると、あの決断のスピードは国内で新型コロナウイルス感染者数を0にするためには必要なことだったはずだ。未曾有の事態に対して、あのスピード感で対応できるのは、半端な決断力ではできないと思う。

直近でもオークランドで感染者が出たら、数日以内に即ロックダウン。感染者がトレースできたら、すぐにロックダウン解除。日本では想像もつかないくらい早い対応力である。

日本とニュージーランドは人口密度も全然違うし、簡単に比較してはいけないと思うのだが、それにしても日本もちっとはこの状況への対応力を見習って欲しい。ニュージーランドはちゃんとしている。

 

野生的なグルメが豊富

ニュージーランドには日本では見れない動物、果物がたくさんある。

キウイフルーツや林檎、レモン、フィジョアという果物があったり、海に行けば簡単に鯛は釣れるし、アワビや伊勢海老、ホタテも規定のサイズ、数量を守れば、漁師でなくても取りに行くことができる。

北島テプケの近くの村の牧場にファームステイさせてもらっていた時は、レモンもオレンジもフィジョア、キウイフルーツも取り放題だったし、近くの海に釣りに行けば鯛も入れ食いだった。ご近所付き合いで鮑や伊勢海老をくれる人がいたり、苺やトマトなど家庭菜園している家がほとんどだ。

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フィジョアという酸っぱい果物

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ピピという近所の海から取ってきた貝で作ったスパゲティ

さすが食料自給率400パーセントの国。東京のスーパーやコンビニでしか食料を調達できなかったぼくにとって、身近に美味しいグルメがあるのは新鮮な感覚だった。

 

新進気鋭の気質

ニュージーランドは実験的でけっこうとんがっている国でもある。

今でこそ当たり前である、労働者の最低賃金や8時間労働を最初に導入したのもニュージーランド。基本的に労働党の国なので、労働法に反するような職場もほとんどない。

世界で一番起業がしやすい国とも言われていて、政府からのサポートも手厚い。

 

実はニュージーランドは決済システムがとても進んでいる国で、現金がほとんどいらない。エフトポスと呼ばれる、銀行のキャッシュカードがデビットカードの役割も兼ねており、すべてカード一枚で決済可能である。現金至上主義の国から来た人間にとって、エフトポスカードむちゃくちゃ便利なのである。クレジットと違って銀行手数料もかからない。エフトポスという仕組みが導入されたのは1984年ということを考えると、かなり進んでいることが分かる。

口座間のお金の移動もスマートフォンの銀行アプリでできる。

 

新型コロナへの対応の早さも、この新進気鋭な気質があったからこそ実現できたのではないかと思う。

  

自然を楽しむための設備、エンターテイメントが充実している

ぼくは東京出身のもやしっ子だけど、今やキャンプ生活、車中泊にトレッキング、釣り、ダイビングと自然の中で野生児のように生きている。この生活を強いられているわけでもないし、無理な努力をして適応したわけではない。ただ普通の感覚で、ニュージーランドで生活しようと思ったら、自然の中で生きた方が満足度が高いと思って、今のような生活になっている。最初の一歩さえ踏み出せば、なんてことはなかった。トラブルに見舞われても誰か助けてくれるだろうという安心感もある。(それでもリスク管理は必要だけど)

都会っ子のぼくが自然にアウトドアな生活に適応できたのは、ニュージーランドがアウトドアな生活がしやすい環境だからだと思う。情報の行き届いた管理された自然の中だからこそ、安心して生活できる。

 

大自然の中に町があるようなものだし、山を歩くにしたってほとんどが国が管理している保全地域で、地面も歩きやすいし案内板もわかりやすいところに立っている。キャンプ場やホリデーパークに行って、少しのお金を払えば車中泊、テント泊することもできる。セルフコンテインと呼ばれる車内にキッチンやベッドなどを内蔵した改造車(というとイメージ悪いけど)を買えば、どこでも寝泊まりできる。ラフティングやスカイダイビングなど自然のアクティビティももちろんたくさんある。

 

アドベンチャーを楽しみたければ、ニュージーランドの雄大な自然の中で、気軽に楽しむことができるのだ。

 

ニュージーランドの個人的に生活しづらいところ

コネクションが何よりも大切

ここからはニュージーランドのネガティブポイントを述べていくわけだけど、むしろ田舎共通のネガティブポイントと共通する点が多いと思う。ぼくにとってはネガティブに感じられるけれど、必ずしも万人にとってのネガティブではないので悪しからず。

 

ニュージーランドの人口はたったの400万人。これは横浜市の人口よりも少し多いくらいだ。日本と同じくらいの国土に400万人しかいないのである。羊の数の方が多いなんて言われるけれど、これはドライブしていると実感することだ。牧草地には羊や牛だらけで、時折羊が道路を横切る。

人口が少ない上に人が集まるスポットも少ないので、知り合いとばったりと出くわすことも多い。キウイフルーツで一緒に仕事をしていたヨーロピアンのワーホリが別の村のキャロットのパックハウスで働いていたり、北島のオークランドで会ったバックパッカーと数日後に南島のダニーデンでばったり会ったこともある。

 

とにかくそんなお国柄なので、人と人の結びつきがとても強い。ビジネスをするのにも友人付き合いするのにも、とにかくコネクションがもっとも大事なのである。ご近所付き合いが得意な人には有利かも知れないけれど、その集団の中でうまく溶け込むことができないと厳しいものがあるのかも知れない。オークランド、ウェイリントン、クライストチャーチのような都市部に行けば、また違うのだろうけれど、ニュージーランドの基幹産業は農業や牧畜になる。

バックパッカーとして回っている分には問題ないのだけど、ニュージーランドの中で暮らすとなると、ご近所付き合いのしがらみがあるのかも知れない。ニュージーランドで永住権を持って生活をしたことがないので、詳しいところは分からない。しがらみを感じずに生活している人もいるのかも知れないけれど、東京での生活に馴染んでいる変わり者にはちょっと難しいかなと思ったのが正直なところである。

 

鬱病率、自殺率が高い

これは意外かも知れないけれど、子どもの精神的幸福度ランキングワースト1位はなんとニュージーランドである。

牧歌的でのどかな国という印象のあるニュージーランドだけど、実は鬱病やいじめの経験のある人は割合で見れば、日本よりも多かったりする。

実際、ぼくがロトルアでブルーベリー農園で働いていた時も、一緒に働いていたニュージーランドのおっちゃんの息子さんがオークランドで首をくくったという連絡を受けて、大急ぎでオークランドに向かって行った。

要因は色々あるんだと思う。ソーシャルメディアを使ったいじめが問題になっていたり、貧富の差が大きいという背景があるそうだ。これはぼくの想像ではあるけれど、ニュージーランドはスモールコミュニティの国であるため、いざという時に逃避できる場所が少ないのも要因としてあるのではないかと思う。だからこそ、数年海外生活を送った経験のあるキウイが多いのではないのかとも思う。

 

プライベートの確保が難しい

ニュージーランドではプライベートを確保するのが難しい。

というのも、ニュージーランドにはアパートメントがほとんど存在しない。一軒家を持つとかオークランドやウェリントンに行って部屋を借りるとかしないと、自由気ままな一人暮らしは難しい。フラットやシェアハウスに泊まって、ハウスオーナーや異国の同じような人たちと生活を共にするのがワーキングホリデー生活の基本になると思う。ぼくの場合は特にプライベートをしっかり確保しておきたいタイプの人間なので、なるべく一人部屋のあるところを探すが、それでもやはり何かと気を遣うし、個人的生活をこっそり見られているようなストレスもある。

スーパーに売っているのも、一人では使いきれないサイズ感のものが多く、独身生活には向かないのだ。

 

バックパッカー生活にあるまじきことを言うが、基本的にシェアルームが好きではないので、バックパッカーズなんかは好きではない。これはあくまで個人の感想なので、人付き合いが好きな人や、見知らぬ他人に対しても初めからオープンな態度で接することのできる人にとっては長所になるのかも知れない。

また、これは日本の地方と共通している点でもあると思うが、スモールコミュニティなので噂の伝導率が高いらしい。なんにしてもニュージーランドでは人付き合いが大切なのだ。

もちろん村や町によって雰囲気も全然違う。合わない町でストレスを抱えるくらいなら、さっさと違う町に引っ越した方がいいだろう。同じニュージーランドでも場所によって排他的な地域もあれば外国人に対してフレンドリーな地域もある。

 

実際のところ人種差別はあるの?日本に比べて治安は?

ニュージーランドの長所のところで、世界的に見てもニュージーランドはかなり治安が良く、データでも日本以上と出ていると述べた。では実際のところはどうだろうか。

 

ぶっちゃけて言うと、日本の方が暮らしやすい。

これは当然のことなのかも知れない。なぜならニュージーランドにいる日本人はただの外国人だから。日本のようにコンビニがあったり、配達が早いわけではない。公共交通機関なんてないようなものだ。最初のブルーベリーの職場にしたって、アジア人ばかりに募集をかけて最低賃金以下で働かされたり、外国人だと舐められることは多い。

 

人種差別だってある。正直言わせてもらうと、ぼく自身何度も不快な目にあっているし、特に今のご時世コロナ禍だから、アジア人に対するヘイトが露骨に出る。

道歩いているだけでクラクションを鳴らされて中指立てられたり、コロナウイルスなんて言われたり、一部のキウイはかなり失礼である。(多くの人は親切だけど)

結束力の強そうなキウイ同士でも、マオリに対する差別だってあるくらいだ。

一番酷いのは、友達の韓国人にあった出来事で、キウイのフラットメイトに持ち物全て盗まれたので警察に報告したら「嫌なら自分の国に帰りなよ」と言われて取り合ってもらえなかったらしい。人によっても全然経験も違うものだ。

自分の経験まで書き始めると止まらなくなるのでそれ以上詳しくは書かないけれど、どんなにニュージーランドが治安がいいにしたって、自分は外国人なのだ。どこかで不愉快な目にあうことはあると思うし、戦うにしても逃げるにしても、海外で生活する限り、ある程度の心構えと警戒は必要になる。

マイノリティの立場に回ることも貴重な経験ではあるとは思うけど、誰一人として差別をしない国だと思ったら大間違いである。

 

肥満率の高さ、ニュージーランド飯は・・・

ニュージーランドの肥満率は驚くことなかれ、世界第二位である。

おお・・・、体を動かすところなんていくらでもあるのにどうしてそうなってしまうのだろうか・・・。

もともとが太りやすいDNAを持っているなんてことが言われるけれど、まあ食生活はアイスクリームに、シュガーたっぷりのデザート、フライドチキンにフィッシュアンドチップスとジャンキーな食べ物が多い。

どうして美味しいものがたくさん眠っているのに、それをうまく活用しないのであろうと思うほど、食に関しては微妙である。フィッシュアンドチップス美味しいけど、ムール貝やサーモン美味しいんだから、もっと工夫すればいいのにと思う毎日である。

 

今はただただ日本食が恋しい。

 

まとめ

忌憚なく色々書いたが、清濁合わせてニュージーランドはいい国だというのが結論である。日本と似ているようで異なる文化観。ダイナミックな自然に魅了されること間違いなしだ。