【読書感想】かわいそうだね? 綿矢りさ

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今回は、売れっ子芥川賞作家の綿矢りさの作品を読みました。

自分自身はまだ綿矢りさ作品はまだ、この作品が2冊目ではあるものの、妄想女子のまっすぐな気持ちが面白おかしく表現されているのが綿矢りさの特徴だと考えています。

個人的には、女性ってこう考えて生きているんだってのを単純に勉強させてもらったりもしています。

 

もう一つ綿矢りさ作品の特徴は、変則的なリズムで物語が進行していくのでアトラクションに乗っているような感覚で

話を読むことができるため、すらすらと読みやすい点です。

それでいて、どのように話が進行していくのか読めないのがまた面白いです。

 

 

この本は、『かわいそうだね?』と『亜美ちゃんは美人』の2部で構成されています。

『かわいそうだね?』は、「かわいそう」という他人に対する微妙な感情に差し迫った作品です。

自分自身も中学校受験の時、受験で落ち続けている友達に対して、私立の中学校に合格していた自分は「かわいそうに」と口走ってしまい、後悔したことがあります。

人に対して「かわいそう」って思わないようにしようと思い、意識的に自分の気持ちを封じ込めてきた部分もあったからこそ、無意識のうちにこの本のタイトルに惹かれ購入に至ったのだと思います。

 

男女の三角関係のもつれを中心に物語が進行していきますが、最後の場面は痛快です。

「かわいそう」って言葉の欺瞞を思う存分感じ取ることができます。ちなみに、ぶどうパフェのくだりは綿矢節全開で個人的にお気に入りの場面です。この場面だけでも、一読の価値ありです。

 

 

『亜美ちゃんは美人』は、女性同士の複雑な友情が描かれた作品です。男性にはない感情が多く描かれているので、

男性目線からだと結構新鮮だと思います。清純だったはずの亜美ちゃんが、ある日突然、刺青を見せてくるシーンは

肝が冷えたりもしました。

 

 

女性経験のない僕が、綿矢りさ作品の感想を書くのは結構難しかったです。

そんな僕でもかなり面白い小説だと思いました。