【NZワーホリ】日本から逃げてニュージーランドにやってきたけど、キウイフルーツのパッキング仕事ってどんな感じなの?
自分探しにきた者、出稼ぎに来た者、老後の暇つぶしにきた者、大集合!
ニュージーランドは多国籍国家だ。先住民族のマオリとヨーロピアン系と多くの移民、ワークビザやワーキングホリデービザを手にやってくるのも多い。
ニュージーランドは酪農大国ゆえに、ワーキングホリデーとしてやってくる人間のほとんどはシーズナルワークをする。フルーツ、野菜を収穫したり箱詰めしたり、生肉工場や魚肉工場で働いたりするのだ。それらの仕事のなかでも、ニュージーランドのトレードマーク的生産物で、人の集まりやすい仕事というのが、キウイのパッキングの仕事だ。
キウイのパックハウスにはいろんな人間が集まる。
自分探しに来た者、野望を持った者。遊びに来た者。これはたいていのワーホリであろう。また、サモアやバヌアツなどのオセアニア近隣国からは出稼ぎに来る者もいる。現地人も多い。老後の暇つぶしに来る爺ちゃん婆ちゃん、小遣い稼ぎに来た近所のおばさんなど色々いる。自分の国から逃げてきた人間もいるらしいが、そんな人間はどこにも見当たらない。ひょっとしたら、それは自分なのかも知れない。
『赤道より南側でキウイフルーツを箱につめる仕事。満員電車や都会の喧騒から離れた、気楽そうな仕事じゃないか。あのブラック企業のリハビリにはちょうどいい。働くことに慣れようではないか』
ってな感じで、ぼくはニュージーランドにやってきた。
さて、キウイのパッキングの仕事が実際どんなものか、書いてみよう。
キウイフルーツのパックハウスでの仕事ってどんなもの?
ぼくは今、北島のTe Puke(テプケ) という街にいる。
キウイフルーツの街と言ってもいい。ここには大きなパックハウスが6つほどあり、街の周辺はキウイフルーツ農園だらけである。まさしく、「キウイの名産地〜」である。
キウイフルーツの生産・販売会社である「ゼスプリ」(日本でもcmやっている)の本部は、Te Puke よりほど近いTauranga(タウランガ )というリゾート地にある。ぼくはタウランガという街が好きだが、この話はとりあえず置いておく。
端的に書くと、パックハウスの仕事にはざっくり4種類くらいにある。
①グレーディング(grading):フルーツの等級分け
②パッキング(packing):フルーツの箱詰め
③トレイライン(trayline):箱を組み立て、パッカーに流す
④スタッカー(stacker):フルーツを詰み終えた箱を積み重ねる
他にも、品質管理やフォークリフトドライバーなどいるが、たいていの人はこの4種類のうちのどれかの仕事をする。
ぼくは③のトレイラインである。
ただ、段ボール箱にビニール袋を被せたり、プラスチックの入れ物を中に入れて、ベルトコンベアーに流す。
めちゃくちゃ面白そうな仕事に見えると思う。たぶん・・・。
時々、グレーディングやパッキングの仕事にヘルプで行くこともあるが、明らかにトレイラインよりは退屈ではない。
なんせ、トレイラインは究極の単純作業なのだ。
機械の前で忙しなく動いているか、機械の前でぼーっとしている。
隣のニュージーランド人と「S◯it Job !!」と言っては二人でため息をついていた。
とはいえ、愚痴ばかり言っているのはよくない。
愚痴ばかり言っていると、つまらない仕事がいっそうつまらなくなるのだ。
だから、単純作業のスピードをあげるための効率化を考えるようになる。
段ボール箱にビニール袋を被せる時、たいていの人は作業台の上で段ボール箱を横向きにしているが、実は縦向きにした方が速度が上がる。確かにビニール袋を束からひっぺがすと、段ボールの横向きの状態でそのまま被せられるようになっている。だが、横向きで被せるのには段ボールの角が突っかかって、意外と時間がかかる。段ボールを縦向きにしておいた方がビニール袋は被せやすいし、フックからビニール袋をひっぺがした時に空中で90度回転させる方がかえって効率がいい。
それが最近の発見。まあ、どうでもいいか。
日本から逃げて、俺はなにをやっているんだろうと思わないこともない。
週に最大900ドル稼げる!!・・・だがきつい!
この仕事で英語力が伸びるかと言われれば微妙である。
確かに隣の人と雑談できるが、今年はキウイフルーツが豊作らしく、めちゃくちゃ忙しい。「crazy fast !!」とか「stupid boxes!!」と言い合うくらいしか雑談できる時間がないのだ。ぼーっとしていると、段ボールをパッカーに供給できなくなる。
退屈で暇な仕事だと思われるかも知れないが、息のつく間もないほど忙しいのだ。
特に4月はヤバかった。
毎週6、7日勤務で、朝7時から9時間ずっと箱作りである。
正直、気が触れるかと思った。
とはいえ、日本みたいにギスギスした感じや切羽詰まった感じはないので、ストレス自体はない。
勤怠管理やコンプライアンスなどはしっかりしているので安心できる。
前の職場みたいに、給料ちょろまかされたり、不愉快な嘘をつかれるなんてことはない。
仕事自体も安定しているので、新型コロナの影響でロックダウンしても仕事は続いたのはありがたかった。
ピッキング(収穫仕事)のように、雨天の影響も少ないので、毎週700ドル〜900ドル近く稼げる。
時給は2020年時点では最低時給であるものの18.9ドル。けっこう高い。
さらに休日になると、時給が1.5倍になる!!
仕事をやめる時、ホリデーペイという退職金のような制度があり、毎週分の給料の8%分加算されていく。この金額もなかなかバカにできない。
お金を稼ぐには効率がとてもいいのだ。
それと現物支給として、キウイフルーツがたっぷりもらえる。
1日3個ずつ食っても追いつかない。
なんせ、この街にあるキウイフルーツの量がとてつもないのだ。
ぼくのいるパックハウスは、デイシフトとナイトシフトが各々4つずつあり、それらがほぼ休みなく3ヶ月間稼働し続けている。そのパックハウスがこの街には6つある。えげつないキウイフルーツの量だ。
おかげさまでビタミンCが豊富に取れて、体によろしい。新型コロナ対策もバッチリである。
さて、最後に結論。
お金を稼ぎたい人にはちょうどいいと思う。
現地人ともコミュニケーションは取れるが、忙しい時はほぼ無言である。(収穫状況や仕事の種類によっても変わるとは思うが・・・)
ぼくの仕事のリハビリとしても、ちょうどいい塩梅の気楽さと忙しさを兼ね備えた仕事である。