【3分で読める書評】中島らも「君はフィクション」を簡単におすすめしてみる
中島らもにハマりはじめたので、久しぶりに書評を書くことにしました。
まだ「頭の中がカユいんだ」と「君はフィクション」しか読んでいないんですけどね。
中島らもは才気とユーモアに満ちた作風で、筒井康隆を愛読している人は十中八九ハマるんではないかなと思います。
そもそも中島らもがどんな人物かというと、小説家という肩書きに止まらず、俳優やったり、ラジオのパーソナリティ、バンドマンとしての顔も持ち合わせている多才な人みたいです。町田康みたい。
中島らもの小説で出てくる登場人物は、だいたいヒッピーとかプータロー。だいたいどの話を読んでも、酒飲んでへべれけに酔っ払っていたり、お薬でラリったりしている。
セックスドラッグロックンロールを小説にしたみたいな感じといえば、だいたい雰囲気伝わるでしょうか?おまけにオカルトじみてる。
実際、「頭の中がカユいんだ」は泥酔状態で書き上げたとのことらしい。意識高いところとは真逆に突き抜けた作家ですね。
「君はフィクション」には十二の短編が収録されていて、どれも下手な長編を読むよりも変幻自在です。ユーモア小説であるものの、そうでないようでもあります。軽いようでいて、ギャグだけでは片付けられない何か引っかかるものもある感じですね。
例えば「水妖はん」なんかはドラッグに溺れた時の感覚なんかが伝わってくる気がするし、「君はフィクション」も躁うつ病だった作者自身の姿が反映されているような・・・。
「君はフィクション」の中で、特に自分がお気に入りだったのが「43号線の亡霊」。
ラリった運転手の自動車と幽霊が乗り回す自転車とで国道43号線を爆走するという話。
あとは、「orange face」とか「DECO-CHIN」とかも、とてもよかった。中島らもの人生哲学が伝わってくるみたいで。
意識低いし、おふざけなんだけど、作者の熱がこもった作品ばかりです。
読んでみることをおすすめします!